蒲田じしゃく製品ができるまで マグネット製品の製造工程について

蒲田じしゃくであつかっている家庭用の磁石製品がどのようして作られているかみてみましょう

工場は東京都大田区にある株式会社東和製作所です.  JR京浜急行線の大森駅と蒲田駅の間の線路沿いにあります.

京浜急行線か東海道線の下り線進行方向左手に見えます. なにもはまっていない看板の枠だけなので見過ごしてしまうかもしれませんね.

線路わきの東和製作所

 

磁石の素材

東和製作所では工業用の非常に強い製品を主に製造しているので、取り扱う磁石は主にネオジム磁石(Nd-Fe-B焼結磁石)というものです、ネオジム磁石について詳しくはwikipediaをごらんください。

ネオジム磁石は金属の粉を焼き固めて作ります。日本でこの工程を持っているところは主に3社(信越化学工業、日立金属、TDK)しかなく、東和製作所では信越化学工業より仕入れています。

焼きたての磁石ブロック

 

端材を有効活用(マグネットのリユース)

地道に溜め込んだ倉庫の端材

東和製作所が使っている高品質なネオジム磁石は、産業用のため家庭でつかうには高価です。このため家庭用には産業用製品を製造するときに出る、端材(磁石ブロックの切れ端)を使っています。いままで、この端材はリサイクルを行っていましたが、リサイクルするよりリユースする方が遥かに環境負荷も小さくできるし、コストも安くなります。産業向けにリユースするには端材は少し小さすぎるのですが、家庭用にはちょうど良い大きさだったので、とても良いリユースです。

 

磁石の加工

さて、前置きが長くなりましたが、ここからが東和製作所の製造工程です。

まず、磁石の端材を希望の大きさに加工する「加工工程」です。東和製作所はその道70年以上の磁石の加工工場で、磁石専用の加工機が並んでいます。右の写真はだいぶ使い込まれていますが、磁石をまっすぐに切断する機械です。木工でいうならノコギリ(丸ノコ)ですね。磁石はとても硬くて欠けやすいので加工しにくい素材です。穴をあけるのも大変なので、ちょっと変わったかたちの磁石を作ろうとすると、とても手間がかかり高くなってしまいます。

市販されている磁石が簡単なかたち(四角とか丸とか)なのは、そういう理由からなのでしょう。

磁石加工機の1つスライサー

磁石の表面処理

ニッケルメッキはさびどめです

ネオジム磁石はそのままだとサビてしまうので(永久磁石の弱点 磁石はサビる?参照)、メッキをします。

今のところ家庭用磁石はニッケルメッキ仕上げのみですが、ニッケルメッキだけだと水に濡れるとサビることもあります、この場合は塗装などして磁石を保護します。

ここで、磁石は”ほぼ”完成です、ほぼというのは実はこの段階では磁石は磁力を持っていないからです。

 

磁石製品本体の製作

家庭で”使える”じしゃく製品の本体部分の製造には、いろいろなかたちを簡単に製造できる3Dプリンタを使っています。東和製作所の中には磁石製品製造用にチューニングされた3Dプリンタが並んでいます。数個〜1,000個程度の生産量に最適になるような生産体制を目指しています。少し自分にあったデザインやサイズを手にしやすい価格で欲しいというニーズに応えられたらいいなあ、、、ということでこの方式を考えました。それ以外に金属や木材なども取り入れての製品開発を進めています。

3Dプリンタで部品をつくります

磁石の組込

磁石を組込ます

ネオジム磁石は磁力がとても強いのが特徴です。ところがガッツリ鉄につくので、製品本体から磁石が取れてしまったり、勢い良くくっつけて磁石が砕けてしまったり、、、少し注意が必要になります。このため磁石の組込は外れにくいようにしたり、磁石が直接鉄に当たらないようにしたり、すこし変わった組込をすることもあります。

写真の右側(青色)は「はんぶんばさみ」という製品です。左側(白色)はこれを切断したもので、ここにじしゃくがあります。

磁石製品の仕上げ

プラスティック製品は色付きのプラスティックで製造すれば仕上げに塗装をする必要はないのですが、外観にこだわる場合は塗装で仕上げます。仕上げの工程は最近東和製作所の中に作ったので、実は食事をするところすぐ横にあります。このため、人に優しい水溶性のアクリル塗料を主に使っています。

下地塗装をして乾燥中です

着磁

 

着磁器です、アップすぎでごめんなさい、、、

塗装で仕上げ、見た目は完成しました。あとは磁力を注入するだけです。

磁石に磁力を持たせる工程を「着磁(ちゃくじ)」といいいます。一般に着磁前の磁石を目にすることはまずないでしょうから、磁力のない磁石が、磁力のある磁石に変わる瞬間は少しエキサイティングかもしれません。工場見学で言えば”見せ場”といったところです。

着磁には着磁器というとても大きな装置を使います。簡単にいうと、着磁器はとても強力な電磁石で、この磁力を磁石に注入するわけです。着磁器のスイッチを入れると一瞬大きな電流が流れて「トゴッ!」という鈍い音がします。これで電磁石の中の永久磁石製品に磁力が入ります。

検査・梱包・出荷

ここまでで、製品は完成しました。あとは、外観などを検査し、出荷を待つだけです。

HPでの販売の場合、送料をできる限りお安くするため、小さい製品ならクッション封筒による簡易梱包を行いメール便で発送しています。

 

小さいものなら簡易梱包で発送